top of page
検索

「オーダーメイドのカリキュラム」の罠

  • johnny-osoro
  • 5月19日
  • 読了時間: 2分

 オーダーメイドする余地があるのは習得する「方法」であり、習得すべき「内容」はプリメイド――皆に共通で変えられない。

 大学に入って初めてのアルバイト先は、当時としては珍しい自習管理型の塾だった。そこでは生徒の勉強法を考えるのが主な仕事で、「オーダーメイドのカリキュラム」が宣伝文句になっていた。

 当時の僕は文字通り、十人いれば十通りの勉強法があると思っていた。別の生徒と同じ助言をすると「楽をしている」と罪悪感を感じるほどだった。

 しかし、程なくして、だいたいどの生徒にも同じ言葉をかけざるを得ないことに気づいた。「単語を覚えるのが大事」、「長文の前に英文解釈」、「まず品詞を意識する」などは、どの生徒にも有効だからだ。

 更に、単語や品詞の識別方法を覚える仕方が人によって異なっていることにも気づいた。「書くと覚えやすい」、「国文法の復習が品詞識別に役立った」などは、そうでない生徒もいるはずだ。

 この経験が示すのは、「オーダーメイド」が指すのは方法の部分(how)であって、やらなければならないこと(what)はどの生徒にも共通だ、ということ。例えば学力を構成する要素が5つあったら、オーダーメイドにすればそのうち3つだけ習得すればよい、などということはない。結局5つすべてを身に付ける必要がある。生徒はここをよく意識することが肝心だ。

 例えば「英文法の基本を身に付ける」という目標を達成するために、ある生徒は文法問題集と総合英語を使うのが良いし、別の生徒は英文解釈から入った方が良い。しかし、道は違えど、到達せねばならない地点は同じである。

 生徒が塾や予備校を頼るべき点の1つは、この「方法」に関する助言にある。それは、一般的に講師はどの方法が生徒に合っているか、を生徒本人よりも正確に見極められるからだ。これは、様々な生徒とその生徒が実際に行った勉強法を見てきた経験が、講師の方が生徒本人よりも多いことによる。しかし、「内容」に関しては変えられるものが少ないのだ。

 

 
 
 

最新記事

すべて表示
なぜ君は本を読んでいるのに読解力が付かないのか

本を読んでいるのに国語が苦手、という生徒は多い。かく言う自分も中高生の時は映画や本に常に触れていたが、国語、特に論説文を得意だと思えなかった。 こういうタイプの子は、同じ作品に繰り返し触れる経験が少ないのではないか、と思う。当時の自分も、小説でも映画でも、一度体験したらそれ...

 
 
 

Comments


英語講師中山じゅんいちのホームページ

©2023 英語講師中山じゅんいちのブログ。Wix.com で作成されました。

bottom of page